お薬コラム第2回 「薬剤師が解決!病棟に潜むリスク」

  第1回では、「明日から活かせる!薬剤師の活用法」をお届けしました。病棟には、たくさんのリスクが潜んでおり、せっかく薬の効果を減弱させてしまっているケースがあります。
今回は、入院患者さまの服薬管理に薬剤師が関与し、リスクを回避できたケースを紹介いたします

【ケース1】酸化マグネシウムと抗生剤の併用

  病棟で数多く見られるのは、入院によるベッド安静のため運動不足になり、大腸の蠕動運動が低下し胃結腸反射が弱まり便秘となる患者さまです。
さらに術後の感染予防のため、抗生剤を服用し酸化マグネシウムと併用する形になることが数多くあります。
特定の抗生物質のみですが、テトラサイクリン系抗生物質、ニューキノロン系抗菌薬、セフェム系抗生物質のセフジニル(セフゾン)などと酸化マグネシウムを同時服用すると、抗生剤の効果が減弱いたします。中には50%近く効果が減弱するケースもあります。

[このような場合、薬剤師は…]
→薬剤師が医師と話し合い、酸化マグネシウムを食間の服用へ変更するといった提案を行います。食間にすることで薬の減弱を防ぐことが可能です。

 

【ケース2】タンナルビンとロペミンの併用

  私は抗がん剤投与時に多く見かけましたが、抗がん剤の副作用による下痢の場合、ロペミンとタンナルビンが処方されることがあります。

しかし、実はこの2種類の薬はとても相性が悪く、タンナルビンとロペミンは併用注意になっています。どちらも同じ下痢止めですが、タンナルビンがロペミンを吸着することにより効果が減弱することが知られています。

[このような場合、薬剤師は…]
→服用間隔を2時間以上あけることで、減弱が回避できるので、薬剤師が医師に服用時間の変更を提案いたします。

 

【ケース3】葛根湯とロキソニンの併用

  ケース3は中級編です。風邪の引き始めで、熱もある場合に葛根湯とロキソニンが処方されたケースです。

葛根湯は、基本的に発汗促進により、風邪の初期症状である汗が出ないことによる悪寒と頭痛等を和らげる作用がありますが、ロキソニンはその逆の解熱作用がありますので、葛根湯の効果を減弱してしまいます。

[このような場合、薬剤師は…]
→薬剤師としては体を温める葛根湯、体を冷やすロキソニンの併用はあまりお勧めできないので、医師と相談し、ロキソニンは中止し、体を冷やさないように冷たいものを控えるような指導を患者さまに行います。


  今回紹介したケース以外にもたくさんのリスクが病棟に潜んでおり、せっかくの薬の効果を減弱させてしまっていることがあります。
薬の効果100%引き出し、患者さまが1日でも早く退院できるよう、薬剤師をどんどん使ってください。

 

著者プロフィール

株式会社うさぎ薬局 修善寺店 薬局長加治亜世先生
10年間の大学病院勤務時代に得た知識・経験を活かしながら地元静岡で地域密着型医療の提供を目指すうさぎ薬局の薬局長を務める。 地域住民へ薬や健康食品などの理解を深めてもらうための地域講演会や子供たち向けの薬学教室などを行い活躍中。
糖尿病療養指導士,漢方薬・生薬認定薬剤師、ケアマネージャー、サプリメントプロフェッショナルなど様々な資格を保有している。

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