お薬コラム第18回「外用剤(塗り薬)の混合処方について」

看護師の皆さんこんにちは。薬剤師の加治です。
ノロウイルス・インフルエンザなどの流行で年末年始も院内感染対策に苦慮されたのではないでしょうか?

さて、本コラムは今回をもちまして最終回となります。これまでご愛読いただいた皆様には厚く御礼を申し上げます。
最終回は冬ということで、保湿剤を含めた外用剤(塗り薬)の混合処方の可否を薬剤師視点でお話させていただきます。

塗り薬の基材4種類の特徴

塗り薬といっても軟膏・クリーム・ゲルなど剤型も様々ありますが、何でもかんでも混合していいものではありません。
なぜなら薬ごとに基剤が違い、その基剤によって性質が違うからです。

その基剤は主に油脂性・水溶性・乳剤性(クリーム)・ゲルの4つに分類されます。
簡単に説明すると、油脂性は皮膚透過性が少なく、水溶性は潰瘍などの治療の時など患部の水分を吸収する作用に優れ、乳剤性は皮膚透過性が高く、ゲルはベタつき感がなく、水で洗い流しやすいことが特徴です。

 

塗り薬が混合処方されるまでの過程

皆さんの病棟でも多くの塗り薬の混合処方が行われていると思いますが、薬剤部では病棟に薬が提供されるまでに以下のような過程を経ていることを、頭の片隅にでも留めておいて頂ければ、病棟でも患者さんから質問があった時に返答しやすいのではないかと思います。

【1】それぞれの基剤の混合の相性ですが、クリーム・ゲルは基本的にどの基剤とも混合しないほうが良いと言えます。クリームは乳化の破壊、ゲルはpH変化による分離が起こるためです。

【2】混合の仕方として、クリームは混ぜると乳化の破壊により、液状化が発生します。水分の多い基剤は水分が蒸発しないように適度に早く混合することが求められます。
さらには、固めの水溶性基剤は混合前に単独でよく練り、お互いの硬さを合わせておくことが重要です。

【3】商品名が軟膏・クリームでも実際は違う剤型のものもあるので、注意を払っています。
例として、ユベラ軟膏・パスタロンソフト軟膏・ヒルドイドソフト軟膏などは『軟膏剤』と記載されていますが、剤型はクリームであり、インテバン軟膏の剤型はゲルとなります。

これは昔の日本薬局方で軟膏・クリーム・ゲルは『軟膏剤』と一括りにされていたことが原因です。今後は薬局方も改正されたので改善されていくようです。

このような過程を経て、病棟に薬が提供されていきますが、処方薬をきちんと服用してもらうために混合指示を出されている医師も多いので、疑義照会を行う前に医師の見解・患者背景を確認することも多くあります。

今回はさわりだけお話しましたが、基剤の相性はさらに細かく分類されるため、薬剤師に混合処方の可否を適宜確認するといいでしょう。

著者プロフィール

株式会社うさぎ薬局 修善寺店 薬局長加治亜世先生
10年間の大学病院勤務時代に得た知識・経験を活かしながら地元静岡で地域密着型医療の提供を目指すうさぎ薬局の薬局長を務める。 地域住民へ薬や健康食品などの理解を深めてもらうための地域講演会や子供たち向けの薬学教室などを行い活躍中。
糖尿病療養指導士、漢方薬・生薬認定薬剤師、ケアマネージャー、サプリメントプロフェッショナルなど様々な資格を保有している。

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