お薬コラム第16回「ステロイド外用薬のウソ・ホント」

こんにちは。薬剤師の加治です。
今回のテーマでは、薬局で特に多い質問の一つに挙げられる、『ステロイド外用薬』についてお話をさせていただきます。

社会現象となった『ステロイド不信』

ステロイドは私が薬剤師として働く前、1990年代に「アトピー性皮膚炎でステロイド治療は誤りだ」という風潮、いわゆる『ステロイド不信』が社会現象となっていました。
その結果、ステロイド外用薬の使用の自己中止・使用量の減量などが増え、アトピー性皮膚炎を悪化させる患者さんが増加しました。
ですが、2000年以降ではガイドラインも整備され、啓発活動の結果、自己中止などによるアトピー性皮膚炎の悪化は減少しました。

では、なぜこのような社会現象までになったのでしょう。

 

社会現象となった流れ

ステロイド外用薬は、内服薬ではないとはいえ全く副作用がないわけではなく、皮膚萎縮などによる赤ら顔『酒さ様皮膚炎』と呼ばれる症状などが報告されています。
このような副作用が1990年代からメディアで取り上げられ、さらにステロイド内服薬の副作用である、骨がもろくなる・肥満になるなどの副作用が外用剤でも起こると誤解され、報道されるようになりました。
また、一部医師からはアトピー性皮膚炎に対するステロイド外用薬の使用は、逆に悪化を引き起こすという見解が提唱され、これがテレビ番組で大々的に取り上げられた結果、ステロイド不信の流れが止められないものになりました。

しかし、この現象は日本だけのもので、誤った報道がいかに社会を混乱させているかの一例ともいえます。

 

ステロイド外用薬について気を付けるべきこと

確かにステロイド外用薬は、先ほどお話ししたように副作用もありますので、以下のことを気を付けながら、日々私たち薬剤師は指導を行っています。

[1]強いステロイドを2か月以上塗った場合
[2]顔・外陰部への塗布時
[3]赤ら顔『酒さ様皮膚炎』がステロイドを塗布していない時も習慣化している時
[4]ニキビがひどくなっている時
[5]血管が浮き出ている時
[6]タムシ・ミズムシなどに感染している場合

ニキビの悪化はよく質問をされます。ニキビがある箇所への塗布は避け、ステロイド外用薬を継続してもらうなどの提案をし、対応をお願いしています。
未だにステロイドに対する不信は消えておらず、質問が多い領域なのでご不明点がある方はぜひ、薬剤師までご相談ください。

著者プロフィール

株式会社うさぎ薬局 修善寺店 薬局長加治亜世先生
10年間の大学病院勤務時代に得た知識・経験を活かしながら地元静岡で地域密着型医療の提供を目指すうさぎ薬局の薬局長を務める。 地域住民へ薬や健康食品などの理解を深めてもらうための地域講演会や子供たち向けの薬学教室などを行い活躍中。
糖尿病療養指導士、漢方薬・生薬認定薬剤師、ケアマネージャー、サプリメントプロフェッショナルなど様々な資格を保有している。

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